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執筆者の写真新城 安太

CBDに関する契約書作成のポイント〜依頼する弁護士に絶対伝えたほうがいいCBD取引特有のリスクについて〜


CBD特有の取引慣行やリスクを踏まえた契約書を使用していますか?


 皆さんはCBD取引を行う上でどのような契約書を使用していますか?ネットの雛形を使ったり、友人からいただいたりということもありますが、やはり王道は弁護士に依頼することかと思われます。

契約書を作成するプロである弁護士は、取引類型や取引経緯などを伝えれば、大抵の契約書は作成してくれるでしょう。しかし、CBDを商材とする場合には、取引類型以外にも、CBD特有の取引慣行やリスクを考慮する必要があります。

 

 そもそもCBDを知っている弁護士があまりいないことや、CBD自体は知っていても、CBD特有の取引慣行などに精通した弁護士が私の知る限りほとんどいない(もしこれをご覧の皆様で知っている方がいればこっそり教えていただきたいです笑)ので、これをご覧になっている皆さんがCBDに関する契約書の作成を依頼するときには、以下の取引慣行やリスクを弁護士に伝えてみてください。皆さんにとっては当たり前でも依頼する弁護士にとっては当たり前ではないので、契約書作成に役立てていただけるはずです。


CBD特有の取引慣行や代表的なリスクとその対応方法

THC検出リスクの分担


CBDは大麻由来の成分であるがゆえに、THC検出リスクを無視することはできません。

一般に、THC検出のタイミングは以下が挙げられます。


輸入通関時のランダム検査

商品製造時の最終製品検査

商品販売後の通報などからの公的機関や第三者機関による検査


実際に、これまで4事業者が販売している商品からTHCが検出されたとして、厚労省に公表されています(2022年8月24日時点)。

そして、上記のタイミングのそれぞれでTHCが検出された場合、以下のリスクが考えられます。


​輸入通関時のランダム検査

商品の廃棄処分

商品製造時の最終製品検査

商品の廃棄、新たな原料による製品の製造

商品販売後の通報などからの公的機関や第三者機関による検査

公的機関からの公表、返金・交換対応、損害賠償

上記のそれぞれのリスクに対して、誰がどのように責任分担をするのかを契約書で明確にする必要があります。

CoAなどの書類の引渡し義務

CBD商品の取引に関する取引慣行として、CBD原料や商品の他に、CoAや輸入時の書類などもセットで引渡しを受けることが多いです。

これは、消費者に対して、自社の商品にはTHCが含まれていないですよということを伝える安心材料だったり、最近解禁されたAmazonへの出品のためなどに使用されます。

実務上は、商品の引渡しを行った後に、買主から必要書類の提出を求められると、売主や原料会社が書類を任意に提出することがよく行われていますが、あくまで任意であるため、この提出を拒むこともできますし、それを強制させることは難しいといえます。

そのため、事前にどの書類の提出を求めるのかと、いつ書類を提出するのかを契約書において明確にする必要があります。


他方で、提出する側としては、提出した書類の編集、改変を禁止したり、編集できないように物理的な処理を行うこと、契約書において、編集等しない旨の表明保証をさせること、使用目的を限定すること等で提出書類の悪用やコントロールできないことを防ぐことが考えられます。

CoAなどの書類の真実性の表明保証

まだ発展途上の市場であるための問題でもありますが、輸入させるためだけに輸入元の会社と結託して偽造書類を作成したり、輸入元の会社に騙されて真実と異なる内容の書類の提供を受けることがあります。

もし仮に、書類を信じて輸入したものが、THCが含有していたり、法律で禁止される大麻草の花穂などから抽出した原料であったりした場合、それが発覚することで刑事事件にもなり得ます。

この際に、捜査機関や保健所などの監督機関はもちろん、消費者や取引先に向けても自社に故意や過失がないことを示すために、先方提示のCoAなどの書類が真実であることを表明保証させ、仮に、この表明保証が反真実であった場合には契約解除や補償をするという条項を契約書に規定することが考えられます。


終わりに


やや法律的な単語も使っており、分かりづらい面もあったかと思いますが、これらを踏まえて弁護士に依頼することで、よりスムーズなコミュニケーションが取れて、より”使える”契約書が作成できると思います。



もちろん今回ご紹介したリスクは全てを網羅したものではないですし、全ての場合に上記のリスクを踏まえた条項を盛り込むかというとそうではありませんので、ケースバイケースの判断は必要ですが、少しでも皆さんのお役に立てれば嬉しいです。


このような情報を引き続き発信していくので、よければSNSのフォローもお願いします!


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新城 安太(あらしろ やすた) 沖縄県出身 弁護士法人至誠法律事務所

CBD・ヘンプビジネス、通販・広告、クリニック・医療ベンチャー(主に自費診療)への法務に注力し、業界特性を理解したリーガルサービスを実践。これらに関する上場企業とのコラボセミナー・イベントへの登壇実績多数。

Twitter:@cbd_lawyer

Instagram:@yasuta.lawyer

HP:https://www.arashiroyasuta.com/


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